日本とは全然違う!? 海外大の就職活動②
海外大に進学する前は卒業後の進路はまだまだ先のこと…やりたい仕事や就職先など見えていないかもしれません。それでも、海外に進学したら海外、日本のどちらにでも就職できる可能性が広がることはイメージしやすいのではないでしょうか。卒業の時期や就職活動の仕方も異なる海外と日本で、どのように就職先を決めていくのか知っておけるといいですよね。そこで、今回は、オーストラリアと日本の両方で就職活動を経験したLisa先輩にどのように卒業後の進路を切り開いていったのかを語っていただきます。
職業経験を問われるオーストラリアでは、インターンシップがベース! 就きたい仕事やなりたい姿から逆算して、各自ユニークな就職活動をしていました
今回の「ラボ協力隊」
オーストラリア シドニー大学 (The University of Sydney)卒業生。
高校時代の短期留学経験から日本で勉強するだけでは知ることができない事があると知り、さらに色々な事を体験するため海外に進学。 卒業後日本に帰国し、現在はコンサル会社に勤務中。
Q. 日本と海外での就職活動の大きな違いは何ですか?
A.オーストラリアでは職業経験を求められるので、インターンシップでの経験が有効です。
オーストラリアの企業は職業経験を持つ人材を求める傾向にあります。なので、大抵の学生は本就職前にインターンシップで経験を積みます。オーストラリアの大学は3年制なので、だいたい卒業する1年前の2年生からはインターンを始めている学生が多いと思います。
私も就職を見据えて2年生の時からIT企業でインターンを行いました。そこでの経験は長く、卒業後に就職のため日本に帰国する直前までずっと働いていました。そこでの経験は、自分の本就活時に各社の社風や仕事内容の基準となって、各企業と比較することができたので良い経験だったと考えています。
専攻している学部(メディカル系の学部等)によっては、“プレースメント”といって、実際の現場で働くことで授業の単位に換算できる体制を取っている学部などもあり、私の友人にも大学から離れた場所に一定期間住んでプレースメントを行っている人もいました。
Q. 卒業後は、どういうルートがありますか?また、日本人留学生はどういうところに就職しますか?
A.卒業後に就職する人はわずか2割。まずはインターンを開始するケースが主流です。
私は経済学を専攻していたため、ビジネス系の学部の友人が多くいますが、日本のように卒業後すぐに就職する人は少なくて2割程度だったと思います。友人の半分近くは、大学卒業後にインターンを始めるか、数ヶ月間おいてから就職活動をしていました。その他は、ビジネス系の学士号取得後、法律系の博士号を取るなど、複数の学位を取ってから就職している人もいました。
就職先でいうと、私の周りの日本人留学生は、ビジネス系の中でもマーケティングを専攻している友人が多かったので、広告業界やクリエイティブな職種に就いている人が多いです。私自身は経済学を専攻し、コンサル会社に就職しましたが、同じ会社に就職した大学の後輩の中には、大学で国際関係学や法律を勉強していた人もいます。
また、ビジネス系の学位を取った日本人留学生は、
理由としては、留学生はオーストラリアで就職するには就労ビザがいるのですが、企業が留学生のために
就労ビザのスポンサーをするためには相当額
雇用する傾向にあるためです。
ただし、オーストラリアに残って就職する傾向は職種にもよって異なると思います。例えば、
Q.就職をするまでのプロセス。どうやって就職先を見つけますか?
A.キャリアサポートセンターでの企業紹介や、ビジネスイベントで企業とコネクションを作る機会があります。
卒業後すぐに就職をした人は、大学のキャリアサポートセンターから紹介を受けるか、ベンチャー企業が集まるビジネスイベント会場等でコネクションを作ってインターン先を探し、卒業後にそのインターン先で就職していました。
ただし、留学生の場合、キャリアサポートセンターの紹介を受けるためには、成績の基準や永住権を求められる等のハードルがあります。例えば、成績は、学部の成績上位者15%であることなどや、留学生は永住権を保有していないため企業から就労ビザのスポンサーをしてもらう必要があったりします。なので、在学中にインターン先を見つけることは容易ではない場合もあるため、結果的に多くの人が大学卒業後に数ヶ月間かけてインターン先や就職先を探していました。
Q. “卒業後の進路”に対しての考え方。海外大に進学したからこそ感じることはありますか?
A.進路に必要なことを自分で考えて行動する!これは、大学時代の授業や課題で身についた力です。
海外の大学を卒業した学生は、常に大学の授業や課題でリサーチをしたり、分析してレポートを書いたりするプロセスが身についているため、自分から行動して情報収集する力や、自分で考える力があると思います。
そのため、就職活動もやり方もみんながやっているからそのやり方をするのではなく、自分が理想とするゴール(就きたい仕事やなりたい姿)に向けて必要なアクションを考えて行うため、一人一人がユニークな就職活動の方法で自身の進路を決めていると思います。
Q. 大学や企業からの進路サポートはありますか?
A.卒業生の就職先からのオファーなど、企業を紹介してくれるキャリアサポートがあります。
大学のキャリアサポートセンターでは、募集している企業を紹介してくれます。紹介の中には、シドニー大学の卒業生が就職した企業等から来ているオファーも多くあります。また、学期中や長期休みの間にも、複数の企業を招待したオンキャンパスのキャリアイベントやセミナーなどを頻繁に行ってくれます。
私自身は、就職活動を始めた初期からコンサル会社への就職を希望していましたが、大学のキャリアイベントやセミナーには極力参加し、各業種の雰囲気や社員の方の話を聞くようにしていました。そうすることで、自分がなぜコンサル会社で働きたいのかという理由を深めることができました。
Q. 進路サポートをどのように利用しましたか?
A.日本企業の就職活動には、海外留学生に企業紹介をしてくれる会社を利用しました。
私は、オーストラリアと日本での就職の両方を見据えて、大学2年生の夏頃から就職活動を行っていました。 オーストラリアでの就職については、大学のキャリアサポートセンターやキャリアイベントを中心に情報を収集したり、企業各社の募集情報を集約しているウェブサイトも活用したりしました。
日本の就職活動については、海外に留学している学生を対象に、企業紹介やキャリアイベントを開催している会社を通して活動しました。オーストラリアは、北米や欧州の大学と学期の区切りが異なり、7月~12月、2月~6月の2学期で構成されています。なので、日本の長期休みや就活時期に合せて帰国することが難しかったため、オーストラリアに居ながら日本の企業の面接を受けることができた点が良かったです。ただし、日本で行われる就活イベント数と比較するとオーストラリアまでイベントに来る企業数は限られていたので、大学のスケジュールや課題等を調整して日本に帰国して面接を受けることもしていました。
Q. ご自身の卒業後の進路は、どのように考えていましたか?
A.将来“起業したい”という夢に向けて、国は関係無くコンサル会社で働きたいと考えていました。
私はオーストラリアと日本での就職の両方を見据えて就職活動をしていましたが、どの国で就職するにしても、コンサル会社で働くことを希望していました。 理由は大きく3つあり、
① 海外の大学生活で自分の強みとなった「課題解決力」が仕事のやり方に直結すると考えた
② 将来的に起業したいため、多様な業界のビジネスのやり方、課題等を理解することが必要と考えた
③ 一般企業の経営戦略部や企画部に勤めたとしても、入社1,2年目でCEO, COOレベルの方とその企業の目指すべき方向性や課題について直接協議することは難しいが、コンサルタントならそのような経験ができると考えた
からです。
また、就職で日本への帰国を選んだのは、大学卒業時の就職活動状況(オーストラリアと日本)を踏まえ、
一方日本では、
Q. 将来のために海外大へ進学する前から何をどう考えておくべきですか?
A.夢中になれることや努力できることを見つけることが将来につながります!
高校時代に将来就きたい仕事のイメージが湧かないことは自然なことだと思います。ただし、私は高校時代の学業や部活動を通して、一つの事を自分が納得するまで突き詰めることや、目の前にあるやらなければいけない事を最大限努力して達成することの楽しさを知っていました。そのため、海外の大学に進学して様々な国の人に出会い、文化を知り、日本で体験できない経験や挑戦をしたことで自分がやりたいことを見つけることができたのだと思います。
なので、私から皆さんに送るメッセージは、自分の周りで何か夢中になれることや努力できることを一つで良いから見つけてみてほしいです。
シドニー大学の卒業式(1枚目)とオーストラリアデイの様子(2枚目)
卒業式は、ハリーポッターに出てきそうなメインビルディングの前での一枚。
オーストラリアデイは、オーストラリア建国記念日のような日で、大学の友人と過ごしていました。
海外の大学に進学したことで日本ではできない文化体験や出会いがたくさんありました。
いかがでしたか?
前回のアメリカの就職活動(日本とは全然違う!? 海外大の就職活動①)と同様に、活動の時期が一斉ではないことやインターンシップの経験を通して就職先を見つけていくことがベースとなっている…など、やはり日本とは違いがありましたね。Lisa I.先輩は、どこの国で働きたいかではなく、自分が目指している夢に向けて経験をしておきたい仕事は何か…を考えて就職先を選択していることが特徴的でした。メッセージからもあるように、まだ将来のことが見えていなくてもまずは身近なところからやりたいことを探して打ち込むことが、自然と将来のやりたいことにつながる一歩になりそうですね。次回は、アメリカNew York大学に通う先輩のお話を紹介します。
【他の先輩の就活体験談もチェック!】■決まった就活シーズンがなく、「何ができるか=即戦力」が求められるアメリカ (Lilia T.先輩 アメリカ カリフォルニア州立大学)
※この記事でご紹介している内容は2021年1月12日現在の情報に基づいています。