留学生の私だから語れる コロナ後の変化④ コロナ禍だからこそ感じる、海外に「行って」学ぶことの価値って?【いま留学を考えている人へのアドバイス】
これまでコロナ後に起きた大学の授業や学生生活について、実際に変化を体験した先輩の声を紹介してきました。シリーズ最終回は、「今、このコロナ禍でも海外に進学・留学したい!」と思っている高校生に向けて先輩に語っていただきます。海外への渡航や大学通学が規制される中「事前に知っておきたい!」ことや、そして、進路の道として躊躇してしまう場合に「海外への進学・留学の良さを改めて考えたい!」ことなどがあると思います。先輩たちからのこの時期だからこそ伝えたいメッセージやアドバイスをお届けします。
1週目:①コロナ禍で海外大の学びはどう変わった?【授業・テストの実際】
2週目:② 海外大休校中うまくいっていること・いかないことは? 【学びや生活・友人とのつながり】
3週目:③ コロナ後の授業・学生生活はどうなる?【大学のサポートや見通し】
4週目:④ コロナ禍だからこそ感じる、海外に「行って」学ぶことの価値って?【いま留学を考えている人へのアドバイス】◀︎ 今ココ!
今月の「ラボ協力隊」
Yotaro S.先輩
アメリカ マサチューセッツ工科大学(MIT)卒業。
現在 ジョンズホプキンス大学 (Johns Hopkins University) 博士課程。
高校生から興味があった生物学を最先端の環境で研究をするため海外進学。
アメリカ ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)1年生。
希望するスタイルの建築設計を学べるアメリカに進学し、現在建築学部を専攻。
アメリカ ノックス大学(Knox College)2年生。
勉強内容、生活環境から自分がより成長したいと思ったのが、海外留学のきっかけ。
アメリカ カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA) 3年生。
中学生からの憧れであった海外進学を叶えるためアメリカで学ぶことを決意。
アメリカ ニューヨーク大学(New York University) 3年生。
得意だった英語を生かし、リベラルアーツ教育を通して自分のやりたいことを探索するため海外進学を選択。
Q. コロナ渦を体験している今、改めて「海外進学・留学を考えることの意味」についてどう感じていますか??
コロナで帰国せざるを得ない状況になってしまい、家から授業が受けられるなら、“わざわざ海外の大学に進学する必要はないのではないか?”と聞かれることが多くあるのですが、大学の学びというのは授業だけではないと私は考えます。
外出自粛中、私たちは外に出ることも制限されましたが、海外の大学に通うことによって、多種多様なバックグラウンドを持った友人と繋がり、彼女、彼らから見えている広い世界と日本以外の諸外国の情勢について理解を深めることができたので、日本に残らざるを得ないからといって学びが減ったわけではないと感じます。
海外で勉強をしたい理由の一つに「よりグローバルな視野を身に付けたい」、「より知識・知見を深めたい」という意志があるのであれば、“コロナで世界中が同じ問題に直面している今こそ”が、海外留学・進学の絶好のチャンスかもしれません。海外留学・進学の概念はコロナを期に大きく変わると思いますが、海外の大学での学びというものはより一層貴重なものになるのではないかと思います。
今回のコロナ禍で浮き彫りになったのは、インターナショナル生としてアメリカの大学に通うことのリスクだと思います。例えば、学生ビザで入国している生徒の国の扱いが二転三転し、私も実際ビザ発行がされるかどうかがよくわからない状況に陥っていました。
また、日本の奨学金団体によっては、アメリカなど危険リスクの高い国への留学への金銭援助を行わないという決断をしているところもあるようです。このようなリスクがある以上、例えば一年休学を余儀なくされた場合のプランBを考えるなど、フレキシブルな対応が必要になってきます。
考えておくべきリスクはありますが、海外の大学へ進学するメリットの一つは、バックグラウンドを共有しない人たちに囲まれることだと思います。日本で進学した場合、周りの友人や先生の多くが自分と同じような高校生活や受験をしてきた人たちです。また、もっと根底にある「常識」の多くも共有しています。これに対して海外の大学で出会う友人や教授たちのほとんどは、自分とは違う人生経験をしてきており、今まで出会ったことのない価値観に常に遭遇できます。
僕自身、人種、ジェンダー、背景などを異にする友人たちとの交流を通して、自分では当たり前として考えていた価値観を相対化することが多くなり、物事に対してより俯瞰的な捉え方をするようになりました。単純に教育の質というだけでなくこういったソフト面での学びが得られるのも海外大学の魅力のように思い、海外に進学しないと経験できないことだと思います。
Q. 先の見えない状況だからこそ、海外大進学・留学を意識する高校生が考えておいた方がいいことをアドバイスしてください。
今の時期は、先が見えずに心配なことや不安なことが多いと思います。ですが、最終的にどう進むかを決めるのは“自分”です。なので、その時々で自分にとって一番合う、これが良いと思えるステップを一歩ずつとっていくことが、先の見えない状況の中でも前に進めるヒントになります。
また、プランA、B、Cを持っておくのも一つの安心材料になると思います。これは、大学の受験でも、これから先のキャリア形成でも大切だと思います。結局、自分は最終的にどうありたいのか、それをできるだけ明確にして、その目標にたどり着くためにはどんなプランがあるかを2、3個持っておくと、プランAが上手くいかなかった時でも、別のプランを使ってまた目標を目指し続けることができます。ぜひ、進路に迷ったら試してみてください。
「自分が納得する決断を自分自身で下すことができれば、どんな進路を選択しても大丈夫!」と私は信じています。1年前、大学1年目の終わりを日本で迎えることは全く想定していませんでした。日本でオンライン授業を受けながら「あれ、アメリカの大学を選んだ意味ってなんだっけ?」と思う瞬間もありました。そんな時は一年前に“自分が”下した決断であることやノックス大学(Knox College)を 選んだ理由を思い出して、この選択を下した自分に自信を持ち続けています。
コロナパンデミックになって思ったことは、海外大学を選ぶときに生活面での便利さも考慮すべきだということです。また、このような事態になった際にキャンパスが閉まって日本に帰国するオプションもありますが、もしアメリカに残るのであれば大学周辺の治安や街並みをしっかりと調べたほうが良いと思います。
今学期はコロナウイルスの影響もあり、特に建築の授業が大変で苦労をしていますが、自分に合ったスタイルの建築を学ぶことができるので、ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)に来て良かったと思います。
いかがでしたか?
実際にコロナ禍の状況を経験している先輩たちだからこそ、事前に意識を働かせておくべきリスク対応や、何が起きても前向きな方向に転換するマインドを持っていることの大事さを伝えてくれました。 先輩たちのメッセージから世界的に共通した前代未聞の問題を抱えている今、海外に進学・留学することの意味・価値を再度深く考えられる時でもあると捉えられますね。今一度、進学・留学への自分の意志を確認できたり、新しい形の留学・進学を期待できたりするのではないでしょうか。
※この記事でご紹介している内容は2020年11月24日現在の情報に基づいています。