留学生の私だから語れる コロナ後の変化③ コロナ後の授業・学生生活はどうなる?【大学のサポートや見通し】
現在もコロナは予断を許さない状況ですが、より良い学びのためそれぞれの大学が新しい大学生活の在り方、授業や研究の新しい進め方を模索しています。今回は、先輩たちの大学が今後どのような対応を考えているのかをお聞きします。また、コロナ渦で大学にどのようなサポートがあるのかも合わせて語っていただきます。
1週目:①コロナ禍で海外大の学びはどう変わった?【授業・テストの実際】
2週目:② 海外大休校中うまくいっていること・いかないことは? 【学びや生活・友人とのつながり】
3週目:③ コロナ後の授業・学生生活はどうなる?【大学のサポートや見通し】◀︎ 今ココ!
4週目:④ コロナ禍だからこそ感じる、海外に「行って」学ぶことの価値って?【いま留学を考えている人へのアドバイス】
今月の「ラボ協力隊」
Yotaro S.先輩
アメリカ マサチューセッツ工科大学(MIT)卒業。
現在 ジョンズホプキンス大学 (Johns Hopkins University) 博士課程。
高校生から興味があった生物学を最先端の環境で研究をするため海外進学。
アメリカ ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)1年生。
希望するスタイルの建築設計を学べるアメリカに進学し、現在建築学部を専攻。
アメリカ ノックス大学(Knox College)2年生。
勉強内容、生活環境から自分がより成長したいと思ったのが、海外留学のきっかけ。
アメリカ カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA) 3年生。
中学生からの憧れであった海外進学を叶えるためアメリカで学ぶことを決意。
アメリカ ニューヨーク大学(New York University) 3年生。
得意だった英語を生かし、リベラルアーツ教育を通して自分のやりたいことを探索するため海外進学を選択。
Q. 今後の大学の授業や学生生活は、どのようになりますか?
9月からの新学期はハイブリッド授業で行われています。これは、オンラインのみの授業もあれば、オンラインと対面が混合された授業もあるということです。私が受講する4つの授業は全てオンラインの授業なので、ニューヨークに帰らず日本に残る決断をしたのですが、特に理系の授業でオンラインと対面が混合された授業を取る友人はキャンパスに戻る決断をしている人が多いです。
その先の学期の予定はまだ発表されていないのですが、この新学期で感染が拡大した場合、キャンパスに戻った学生は強制的に実家に帰されると言われています。
私が通っていたMIT(マサチューセッツ工科大学)ですが、この秋からの学期は、4年生だけをキャンパスに戻して通常の大学での授業・研究を行い、次の春学期は逆に4年生以外を戻す…としています。
また、私が秋の新学期から進学したJohns Hopkins University(ジョンズ・ホプインズ大学)に関しては、学部はすべてオンラインで授業を行い、大学院生に関してはプログラム次第でオンラインになるか通学になるかが分かれます。
今学期はハイブリッドに決まりました。ほとんどの日はオンラインで授業を受けて、学期を通して1、2回教室に行くシステムです。教科によってはオンラインだけの授業もあります。ただ、もし大学でのコロナのケースが増えたら100%オンラインになると言われています。
9月からキャンパスを開けて授業をしています。授業の形態はオフラインとオンラインのハイブリットです。キャンパスに戻らないという選択肢も学生には与えられていますが、既に戻っている学生も多くいるのが現状です。私個人は2月初旬にはアメリカに戻ることを予定しています。
とりあえず、9月から12月までの秋学期はほとんどのクラスがオンライン授業になりました。その中で、パフォーマンスやラボ(実験)のクラスなどオンラインでやることが難しいクラスは、人数を減らしてキャンパスで授業を行っています。それ以降の学期はしばらくオンラインになるらしいと、大学関係の人からは聞いていますがまだ決定の発信はありません。
Q.大学でコロナ禍ならではの特別なサポートや留学生向けのサポートはありますか?
先学期のオンライン期間中は各生徒にアドバイザーがつき、コロナ禍による被害など懸念点をいつでも相談できるような制度がつくられていました。また、夏のインターンが取り消しになってしまった生徒のためにオンラインで行える大学でのインターンが多く提供されました。ただ、留学生ならではといったもの はほとんどありませんが、ビザの扱いに関するウェビナーが開催されたりしました。
サポートとしてはアカデミックやキャリアについて相談をできる専門カウンセラーなどにオンラインで予約をすれば話すことができますし、大学のイベントもオンラインで開催されています。私の大学は、留学生に加えて現地の生徒でも違う州に住んでいる子も多くいるため、オンラインのサポートに関しては割と充実していると思います。
コロナになった後もカウンセリングは、留学生に限らず全学生に対していつでもオープンです。 コロナ禍の留学生ならではのサポートはないですが、留学生担当の大学のスタッフは気になることがある場合にメールをするといつでも快く返信してくれます。たまに担当側から私の現在の状況を聞いてくれることもあるので、安心感と信頼感があります。
私が通うニューヨーク大学は、大学側から特にサポートはありません。 授業については、一人一人の学生の学習環境を考慮しながら成績がつけられるなどの考慮はありました。 基本的には、皆が自主的にそれぞれ属しているコミュニティ内で情報共有をしたり、お互い助け合いながらコロナを乗り越えています。元々、ニューヨーク大学はグローバルな大学なので、コロナの状況に限らず常にオンラインでの情報共有ややり取りがさかんに行われているので、仲間同士でのオンラインでの情報共有には慣れています。
コロナ禍での特別なサポートは特にないですが、時差があるのでリアルタイムでの出席が難しい生徒のために出席を取らないオンライン授業が設定されています。それらの授業はレコーディングされてあるのでいつでも見ることができます。しかし、私の専攻である建築の授業は出席を取られるので時差の考慮はないため、自国に帰国した留学生たちは、夜中であっても自国でオンライン授業を受けています。
いかがでしたか?
アメリカの大学では、9月から新学期からキャンパス通学を復帰し始めたところもあるようです。模索しながらのため、サポートや留学生に向けた対応などは大学によって差があることも現実ですが、大学のサポートを得られない場合も、先輩たちは仲間たちやコミュニティとうまく連携をとるなど状況にあわせて行動をとっているようですね。この先も安定しないコロナの状況に合わせ、通学人数を制限したり、オンライン授業とのハイブリッド形式をとったりと対応可能なアイデアを試しながらの運用が続きそうです。
次回は、最終回。海外進学を考える高校生に向けてコロナ禍を経験している先輩たちだからこそ伝えられるメッセージ・アドバイスを語っていただきます。
※この記事でご紹介している内容は2020年11月17日現在の情報に基づいています。