【緊急 新型コロナウイルス情報】各大学の留学生対応は?ーオーストラリア・カナダ編ー
全世界での新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大はいまだ終息せず、日本を含む多くの国で入国制限や、海外への渡航制限などの対策が続いています。海外大学に留学中の方、留学を予定されていた方は事態の推移を見守るしかない状況では、不安が募るばかりかもしれません。しかし現在、世界各国のほとんどの大学では、オンライン授業、録画授業、遠隔テストなどの対応が行われており、教育を継続しようという取り組みがなされています。新型コロナウイルスを取り巻く世界の状況が刻々と変化していく只中ではりますが、まずは落ち着いて、各国・各大学の対応やサポート体制など、しっかりと最新の情報を収集していくことが何よりも大切です。
今回は、カナダとオーストラリアの留学生対応についてまとめます。
※この記事は、各国の政府機関や各大学のWEBサイト等の情報を2020年5月11日現在でまとめたものです。各国・各大学の対応は状況に応じて流動的になっているため、情報は常に予告なく変動する可能性があります。最新情報は必ず自分で確認してください。
カナダ・オーストラリアの国全体としての動き(概要)
カナダ(5/8現在)
★カナダ国籍者以外(カナダ永住者,航空クルー,外交官,カナダ国籍者の家族,その他一部の対象者*を除く)の入国を禁止。国際線の受け入れ空港をトロント、モントリオール、バンクーバー、カルガリーに限定(現時点においてアメリカ、メキシコ、カリブ諸国、サンピエール島及びミクロン島からの便を除く)
*3月20日(3月26日更新)にその他免除対象(カナダで労働・留学を許可された外国人を含む)を追加発表<カナダ移民難民市民権省(IRCC)のWEBサイトで随時更新>
留学生に関しては、3月18日(旅行制限発効)時点で有効な就学許可証を保持、または就学許可証が承認されている場合は渡航を許可される(ただし、到着後に著しい行動制限があるため、カナダ政府は直近の渡航は勧めていない)
【参考ページ】:Coronavirus disease (COVID-19): Visitors, foreign workers and students
★入国者に対する14日間の自己隔離を義務付け(3月25日)。また4月15日以降、カナダ入国者が信頼できる自己隔離計画を示せない場合にはホテル等の指定施設で自己隔離を行うことが義務付け(罰則あり)
★3月30日正午より新型コロナウイルス感染の疑わしい症状がある者の、国内の航空便及び鉄道(intercity passenger trains)の利用を禁止
★すべての旅客機の搭乗者は非医療用マスクの着用が義務付けられる。電車、バス等の陸上交通機関においても非医療用マスクの着用を強く推奨
★3月25日、オタワ市で緊急事態宣言 →4月22日に留学生の就業制限を一部解除
【参考ページ】:コロナウイルス関連情報|在カナダ日本国大使館
<カナダ政府による渡航制限に関する情報は下記サイトで確認>
【参考ページ】:How the coronavirus disease (COVID-19) is affecting immigration, refugees, citizenship and passport services
オーストラリア(5/11現在)
★オーストラリア国民(永住権・市民権保持者とその家族を除く)以外の入国を一時的に前面禁止、オーストラリア人の海外渡航禁止<オーストラリアに到着するすべての渡航者は到着都市の指定施設(ホテル等)で14日間の自己隔離>
★多くの州およびテリトリーで、州境の閉鎖、他州への移動、自州に戻った州民への自己隔離の義務化など、独自の規制
★オーストラリア全土で、物理的な距離を保つための措置を実施。集会・営業制限等が行われ、不要不急場合を除き、自宅待機が強く求められる
・屋外・屋内含め、家族以外との集会は 2 人に制限(3月29日発表)
・レストラン・カフェ(持ち帰りを除く)、ジム、パブ、映画館、劇場、遊園地、娯楽施設、美容サービス施設、美術館、博物館、図書館等の社会的な集会に係る場所を制限(3月22日発表,3月24日追加発表)
・プレイグラウンド、スケートボード場等の屋外施設の閉鎖(3月29日発表)
※州により異なった制限措置が導入されており、各種制限の一部緩和を開始した州もある
※5月8日にオーストラリア連邦政府はの基本的な制限を三段階で緩和していく「新型コロナウイルスに対して安全な豪州のためのロードマップ」を発表
★ビザが失効した場合又は間もなく失効する場合や,今後6か月の間自立して生活できない一時滞在ビザ保有者は、可能な限り速やかに自国に帰ることを奨励
※オーストラリア国内に滞在中のビザ保有者向けの情報は下記ページで確認できる
【参考ページ】:すべてのビザ保有者向けの情報|Department of Home Affairs|Australia.government
※州によっては留学生への独自支援策を発表している
【参考ページ】:Coronavirus (COVID‑19)|Official Australia.government information
<オーストラリア政府機関によって開設された留学生向けのWebサイト>
【参考ページ】:COVID-19 International Student Support and Welfare
カナダ・オーストラリアの大学の学生対応(留学生を含む)
カナダ、オーストラリアにおける大学の対応の例を、何校かご紹介します。
カナダ
■トロント大学(University of Toronto;U of T)■
オンタリオ州トロントに本部を置き、国内最大規模を誇る州立大学。カナダで最も古い歴史を持ち、カナダ屈指の名門としても知られています。
同大学には3つのキャンパスがあり、学部生だけでも7万人以上の学生をかかえていますが、3月16日から学期末まですべてのキャンパス、すべての学部で対面授業はキャンセルとなりました。授業は、他の手段(オンライン授業を含む)へと移行して続行されています。具体的な授業の提供方法は学部ごとに定められています。
- ●対面試験はなし(個々のコース評価の詳細について知りたい学生は、Web上の学生サービスより問い合わせ)
- ●学外に住んでいるすべての学生は基本的に自宅待機(オンライン授業等に参加)。学内の寮に住んでいる場合、学期終了時に家に帰れない学生に対しては引き続き住宅を提供
- ●6月のConvocation ceremony(学期の区切りとなる集会・式典)は中止(卒業を祝う代替手段は模索中)。学位要件を満たした学生には学位と卒業証書を授与する
- ●多くのカリキュラムイベントやワークショップもオンラインに移行
- ●サマーコースは開講予定だが、5月に開始されるコースはリモートで配信(オンラインで対応できないコースに登録した場合は直接連絡あり)
<留学生向け>
- ◆帰国する場合は、留学許可証と一時滞在ビザ(TRV)、または電子渡航認証(eTA)がカナダへ戻る際にも有効であるかを確認すること(カナダに戻る前に失効する場合には延長申請が必要)
- ※留学予定者は、入学許可書を受け取ったらすぐにオンラインで就学許可証を申請すること
- ◆COVID-19が原因でクラス内コースがオンライン形式のみに移行されている場合も、卒業後の就労許可(PGWP)に影響はない。これには、現在就学許可証を持っている学生、または5月・6月に始まるプログラムの就学許可証が承認されているが、旅行制限のためカナダに渡航できない学生が含まれる
- ※上記のような状況にある留学生はカナダ国外からクラスを開始することができ、すぐに渡航できない場合は、カナダ国外からプログラムの最大50%を完了することができる
- ◆現在の留学生、または留学予定の学生は、各キャンパスのImmigration Advisorにメールで問い合わせ・相談が可能
【参考ページ】:COVID-19 Information for University of Toronto Students
■アルバータ大学(University of Alberta;U of A)■
アルバータ州の州都・エドモントにキャンパスを構える州立大学。世界有数の研究集約型大学として評価が高く、キャンパス内には国立のナノテクノロジー研究所など最先端の研究施設を持つ。
同大学では、アルバータ州とエドモントン、カムローズ市による公衆衛生の緊急事態宣言に伴い、対面クラスがすべてキャンセルされ、すべてのクラス(試験と評価を含む)はリモートで提供されました。
- ●2020年の春と夏のコース(春コースは4月18日、夏コースは6月19日までに終了)はリモート配信に移行。リモート配信では学習の成果や目的を達成できない一部のコースはキャンセル(例:海外研修を含むフィールドコース)
- ●対面式の最終試験はなく、リモートで監督できるオンライン試験を提供する場合がある(すべてのコースに最終試験が含まれるわけではない)。評価の詳細は、通常時と同様に担当教員によるコース概要であらかじめ示される
- ●キャンパスの施設、サービスは利用可能だが、必須の研究(COVID-19に関連する研究等)以外はリモートで研究を継続
- ●学生寮に住む学生は、自宅に戻れる場合は退去を求められ、一部の大学寮が閉鎖。家に帰ることができない学生には、物理的な距離を維持できるように再割り当てされた十強を提供
- ●コースをリモートで修了するために必要なPC環境を持たない学生に対し、ノートパソコンの貸出プログラムを提供(オンラインリクエストフォームで依頼)
- ●6月12日にオンラインでの仮想Convocation ceremonyを行う(詳細は数週間以内に発表予定)
<留学生向け>
- ◆2020年秋入学を希望する出願者(留学生を含む)に対して…
- ・学部および大学院プログラムに出願するpost-secondary(大学等)の学生の場合、2020年冬に受講したコースの成績は入学の際に必要なGPAの計算には含まれない
- ・COVID-19に起因する学校の閉鎖または試験のキャンセルにより、申請の最終文書を提出できない場合、中間の成績と文書を受け入れる
- ・授業料の支払い期限を2020年5月1日から2020年6月1日に延長
- ・2020年春、2020年夏、2020年秋、2021年冬の英語能力を実証するための追加オプションとして、学部および大学院プログラムのすべての出願者がDuolingo English Testを利用可能
- ◆現在の留学生に対して…
- ・リモート配信に正常に参加するための適切なテクノロジー(インターネット接続を含む)があること、試験またはリアルタイムのコンテンツ配信のタイムゾーンに対応できるか、大学に戻る際に妨げとなる自国の渡航制限があるかなどのチェックポイントを確認してから帰国することを推奨
- ・キャンパス外に住んでおり、自国に帰れない学生は、賃貸契約をして寮に居住することが可能
オーストラリア
■オーストラリア国立大学(The Australian National University;ANU)■
オーストラリアの首都・キャンベラに広大なキャンパスを有し、国内の研究をリードする名門総合大学。オーストラリア唯一の国立大学としても知られています。
同大学では、3月23日から対面による指導および学習活動は中止となりました。3月30日から、第1セメスターの残りの期間はすべてのコースがリモート配信で行われることになっています。
- ●第1セメスターは1週間延長され、セメスター終了時と試験期間のタイミングの調整が行われた。第1セメスターは12週(6月1日〜5日)まで行われ、試験は6月11日〜6月27日に設定
- ●第1セメスターはキャンパス試験ではなくリモート試験を実施(試験の安全性、安全性、透明性、有効性を確保するために、大学ではProctorioを使用して試験をリモートで監視)
- ●3月26日から第1セメスター終了まで、キャンパスでのあらゆる規模のイベントはキャンセル
- ●キャンパスでの活動は必須のもの(リモートティーチングのための講義録音)のみに制限され、それ以外の活動はすべてキャンセル。カウンセリングなどのエッセンシャルサービスは予約でのみ利用可能
【参考ページ】:COVID- 19 advice|ANU
<留学生向け>
- ◆2020年7月〜12月の第2セメスターの交換留学および留学の受け入れを停止
- ※現在、すでに第2セメスターに出願している場合は、システムにより自動的にキャンセルされ無効に。オファーを2021年の第1セメスター(2021年2月〜6月)まで延期するか、ANUへの申請をキャンセルするかを選択可能
- ◆現在の学生(リモートで学習している留学生を含む)へのヘルプとサポートはリモートで利用可能
【参考ページ】:FAQs: Semester 2 2020 Incoming Exchange and Study Abroad Suspensions|ANU
■マッコーリー大学(Macquarie University)■
シドニーの北東部郊外にあるノースライドに位置する公立大学。オーストラリアで最も寛大と言われる奨学金プログラムの1つを有しており、多くの留学生が学んでいることでも知られています。
同大学では3月17日から27日まで一部の例外を除くすべての対面式の学習・指導を一時停止。3月30日に、すべての大学単位がリモート学習で再開されました。
- ●物理的にキャンパス内にいる必要があるスタッフ(実験室研究など)を除く、すべての学生・スタッフは在宅での作業を推奨。すべての学生サービスもオンラインおよびリモート配信に移行
- ●今学期(セッション1)は、試験の実施を含めた代替評価の方法を検討中。オンライン試験/代替評価スケジュールは5月18日にWebサイトで公開予定
- ●大学図書館(ただしリソースはオンラインで利用可能)、美術館、アートギャラリー、祈祷室は閉鎖。その他すべての大学の建物は、カードキーでのみアクセス可能
- ●5月16日までは国内および海外へのすべての出張を中止、および必須ではない大学イベントを禁止
- ●4月に予定していた卒業式は中止
- ●COVID-19によって財政的に苦労している学生を支援するために「MQ Student Success Support package」を発表(緊急の必需品に対する最大250ドルの緊急サポートバウチャー、2000ドルの助成金と無利子ローンなど)
- ●11年生・12年生(Year 11 and 12)の早期エントリープログラムは、入学希望者をサポートするためにオープン
【参考ページ】:Information for students—COVID-19|Macquarie University
<留学生向け>
- ◆留学生はオンライン学習環境で学習を続けることが可能(学習ビザへの影響なし)。ユニットが完全オンライン対応している場合は、帰国してオンラインで学習を継続することも可能
- ◆Webサイト上から研究の一時停止の要求もできる
- ◆留学予定者で、国別または地域別の奨学金を受給が決定していた学生は、現在の状況を考慮して入学を延期した場合も奨学金のオファーは引き続き有効
【参考ページ】:Information for international students—COVID-19|Macquarie University
新型コロナウイルスの感染拡大がピークを越えたと判断し、外出制限を緩和する国も出始めています。ただ、世界規模で見れば、現状ではパンデミックの完全終息はまだ先が見えないと言える状態です。各国・各大学とも、国民や学生に対して最善のサポートを行うべく、様々な努力を重ねていますので、とにかく各国の大使館、および各大学が発表する最新情報を公式HPなどで随時チェックしていってください。これから留学を予定している方、検討している方は、不確定要素が多く、大きな不安を抱えているでしょうが、今は静かに力を蓄える時期。国内で引き続きコロナウイルスへの感染防止に細心の注意を払いながら、今できることをしっかりとやっていきましょう。
※この記事でご紹介している内容は2020年5月11日現在の情報に基づいています。