【連載】松藤百香のルワンダ渡航記④

東京大学1年生の松藤百香(まつふじももか)です。
春休みを利用して教育系ボランティア活動のため、ルワンダに来ています。
ルワンダでの生活やボランティアの様子、そこで感じたことを日記形式で発信しています。
大学進学後の過ごし方や、アフリカに興味がある方の参考になれば嬉しいです!
松藤百香のルワンダ渡航記③はこちら
14日目
授業見学
今日は、小学4年生の別のクラスにお邪魔した。
授業を見ていると、先生が生徒にたくさん質問しながら進めているのが印象的だった。
子どもたちは飽きずに授業を聞いて、しっかり理解している様子。教え方が上手だなと思ったし、ぜひ取り入れたい。
この小学校では、先生ごとに担当教科が決まっていて、1人の先生が2教科ほど受け持っている。
時々授業ごとに生徒が教室を移動し、同じ板書を二度書かなくて良いように工夫しているのが興味深かった。
画期的な時短システムだが、実際には時間割通りに進まないことが多く、あまり機能していない。もっと整理すれば、もう少し効率よくできるのでは? と思ったり。
時間割が乱れる最大の理由は、先生が体調不良で不在なことが多いから。
1クラス70人もの生徒をまとめる負担の大きさが関係しているのかもしれない。大声を出し続けなければならず、体力的にもかなり大変。
そもそも70人という大人数なのは、教室の不足が原因らしい。
いろいろな課題が絡み合っていて、なかなか難しい問題だと感じた。
授業風景。黒板の前に集まって授業を聞く。
昼ごはん – 予想外のカロリー爆弾
普段は家に帰って昼ごはんを食べるのだけど、今日はお腹が空きすぎてレストランへ。
「ハンバーガーが食べたい!」と思い、お店に入ったら 「20分かかるよ」 と言われる。
20分か…と思い、別のレストランへ移動。
次のお店では、「ハンバーガーのポテトなし」を注文したが、10分後に 「ないよ」 と言われる。
仕方なくビーフライスを頼むと、1時間後に出てきたのはビーフと大量のポテト。
…何だこのカロリー爆弾は。
もちろんとても美味しいのだけど、最初のお店で食べるべきだったな(笑)。
でも、この状況でも笑っていられた自分に成長を感じる。ルワンダ人のおおらかさ、手に入れつつあるのかも。
15日目– ボランティアの目標を決める
今日から、ボランティアとしてやることと目標を明確にすることにした。
これまで生徒を見ていて、四則計算のスピードと正確さが低いことが気になっていた。
そこで、少しでも計算力を伸ばすために、「Quick Math」 というミニゲームを企画!
・10問の単純な計算問題を5分以内に解かせる
・7点以上の子にはカードをあげる
・カードを3枚集めたら折り紙と交換!
このゲームを通して、買い物など、日常生活での実用的なスキルとして身につけてもらうことを目指す。
また、ルワンダでは 国内の統一試験の点数で中学校の進学先が決まる。算数の基礎力を高めることで 進学の選択肢を増やし、子どもたちの将来の可能性を広げたい。四則計算は算数の基礎であり、ここを強化することで 他の数学的思考の発展にもつながるはず。
3週間後にある定期試験までに基礎を固め、最終的には 私が担当するクラスの算数の平均点を、他クラスよりも高くすることを目標にする。
16日目– Quick Mathの成果!
Quick Math 2回目
1回目のときは 7点以上が21/70人だったのが、今回は40人に増えた! 効果が目に見えて出ていて、すごく嬉しい!
でも、3点以下の子も一定数いるのが気になる…。彼らの多くが、桁の多い計算となると解かずに諦めてしまっている。
なので次回からは5点分を簡単にし、カードがもらえる7点まではあと2つ難しい問題が解ければ良い状況にして、モチベーション向上を狙う。
給食を見学 – ご飯と豆のみ
今日は給食を見学させてもらった。メニューはご飯と豆だけ。シンプルすぎる…。栄養が心配。
他の学校も基本的に炭水化物+豆らしい。私立でも おかずが1品増えるくらいの違いしかないみたい。
お肉は高価なため家庭でもあまり食べる機会がない。
また、給食費は 1学期1000フラン(約120円)と非常に安く抑えられている。そのため、コストを抑えつつ、できるだけ多くの子どもに提供できるようにするために、手軽に大量に作れる炭水化物+豆の組み合わせになっているのではないかと感じた。
17日目 – 共同生活も2週間が経過
ルワンダに来る前は、文化の違う人たちと一緒に住むのはストレスが溜まるのでは? と思っていた。でも、今のところ 全くそんなことはない! むしろ、快適で楽しすぎる!
ルワンダでは小学校卒業時に国内の統一試験があり、点数の上位順に進学先が決まる仕組みらしい。そのため、中学生から寮生活をするのが一般的。だからなのか、みんな共同生活に慣れていて、不満を感じることが全くない。
馴染んできた実感
今朝、初めて現地語で話しかけられた。おばあさんからの マシンガントーク。全く聞き取れなかった…。申し訳ない。
そして最近、街を歩いていると 向こうから声をかけてくれる人が増えてきた。 「前にも会ったよね?」と言って立ち止まって話しかけてくれる子もいる。ヨッ友作戦、効果アリ!
学校 – まさかの手紙ラッシュ!
今日も別のクラスを見学。そのクラスの子のひとりが手紙をくれた! すごく嬉しくて、折り紙にメッセージを書いて返した。
すると、授業中にも関わらず…先生の目を盗んで次々と手紙が届く!
めちゃくちゃ嬉しかったけど、折り紙を折るのが追いつかない! どうしたら良かったのだろう…。
18日目 – 挫折と学び
今日は、ユニットテスト(小テスト)の監督 をするはずだったのに…先生が教室を離れた瞬間、子どもたちが一斉に話しかけてきて、教室が一気に騒がしくなってしまった。
「まずはテストを解いてからにしよう!」と必死に英語で伝えていたら、 生徒に「先生の発音、わかりにくい」 と言われる。
これまで、アメリカ英語を意識して話してきたけど、そもそも 英語に“正解”なんてない のだ。
「郷に入れば郷に従え」子どもたちにとって、わかりやすい発音を意識することが大事だと気づいた。これからは、現地の先生の発音を真似して話してみようと思う。
ブレイズを洗う – 乾かない問題
いろんな人に聞いたところ、「ブレイズは1ヶ月に1回も洗わない」 という人も多いみたい。 でも、さすがにそろそろ限界を感じたので洗うことに。
ところが… とにかく乾かない!! ドライヤーを長時間あてても、全然乾かない。まぁ、もう眠いし諦めて寝ることにした(笑)。
p.s.次の日の朝も湿ってた…!
19日目 – ルワンダの結婚式にまさかの大抜擢!?
今日は友人の友人の結婚式に参加することに。ルワンダでは、とにかく たくさんの人を招待するのが一般的らしい。せっかくなので、ルワンダの伝統衣装をレンタルして挑むことにした。
突然のbridesmaid任命
「12時集合」と聞いていたのに、朝8時に友人から電話。「bridesmaid(花嫁付き添い)をやってくれない?」とのこと。よくわからないままとりあえず急いで指定された場所へ向かう。
そこから、なぜか 色々な場所を回りながらフィッティング。気づけば、白いドレスを着せられ、ガチガチにヘアセット&メイク されていた。
「bridesmaidって何するの?」と聞くと、「花嫁の近くにいるだけ! 6人もいるから大丈夫!」とのこと。
お手伝いをする係かと思いきや、「花嫁の親友5人+謎の日本人」という構図だった…! 完全に 「人数合わせ」 な気がする(笑)。
でも、みんな温かく迎えてくれて、花嫁の親友たちと一緒に写真を撮る、謎のbridesmaid体験をすることに。
結婚式 – 日本みたい
式場に入ると、bridesmaids 6人が最前列に並ぶことに。
教会で行われた結婚式は、意外とシンプルな式で1時間ほどで終了。ところがここから 想定外の展開が待っていた。
披露宴 – まさかのダンス入場!?
式が終わった後、披露宴会場のホテルへ移動。「日本と同じ感じだな」と思っていたら、
入り口でスタッフに 「まだ入っちゃダメ」 と言われる。
どうやら、新郎新婦の親友たちであるbridesmaids(女性6人)と groomsmen(男性6人)でペアを組んで入場する らしい。
待機していると、ペアになった男性が 「ダンス得意?」 と聞いてきた。「いや、あまり得意じゃないかな…」と答えた瞬間、
門が開く。
流れ出すのは、想像を超える速いビートの音楽。隣を見ると ペアがノリノリで踊りながら入場している!!!
「え、まさか…」
後ろを振り返ると、全員踊っている。逃げられない…。とりあえず リズムに乗り、みんなの動きを真似する。会場は歓声に包まれ、大盛り上がり。なんとか乗り切った。こんなノリノリの披露宴があるなんて(笑)。
披露宴 – ダンスの試練が続く
披露宴が始まり、新郎新婦をステージ上から見つめるbridesmaids。「なんでこんな親友ポジションにいるんだろう…?」と気まずくなる。そして、その後も ダンスを求められる試練の連続。何度踊ったかわからない…。
最初は恥ずかしかったけど、途中から 「もうやるしかない!」 と開き直り、 だんだん楽しくなってきた(笑)。
温かいルワンダの人々
驚いたのは、こんなに関係が薄い私でも、みんなが自然に輪に入れてくれること。
写真を撮るときも、「入って!」と誘ってくれるし、ダンスで外側にいると、内側に引き込んでくれる。
視野が広くて、みんなのことをちゃんと考えている。この気遣い、素敵だなと感じた。
そして、嬉しかったのが、「ルワンダに来て何年になるの?」と聞かれたこと!
「まだ2週間だよ」と答えると、「それなのに、ルワンダの文化を色々吸収しようとしてくれて嬉しいよ」と言われ、さらに嬉しくなった。
現地学生との帰り道
夜は同居人(現地の学生)と合流して歩いて帰宅。すっかり夜になっていて、街は真っ暗。
休日の夜になると、市街地のバーから アゲアゲの音楽 が聞こえてくる。その影響か、同居人の一人が スマホで大音量の音楽を流し始めた。すると…なぜかわからないけど、体が自然に動き出す。
もう、今日はさんざん踊ったし、踊り慣れてしまったのかもしれない(笑)。気づけば、みんなで 音楽に合わせて路上でダンス。
ルワンダに来たばかりの頃は、「ダンスなんて無理!」「人前で踊るなんて恥ずかしい!」と思っていたのに、今はもう 抵抗感がない。むしろ、踊るのが楽しいと思えるようになった。
ルワンダの空気に、溶け込めた気がした。
20日目 – 折り返し地点
今日は日曜日。洗濯をしていたら、同居人に「そんな洗い方じゃ綺麗にならないよ!」と指摘され、正しい手洗いの方法 を教わった。やってみると、水がめちゃくちゃ濁る…!
全然洗えてなかったんだな(笑)。
夜 – JICAの方々と夕食、教育のヒントをもらう
夜は、JICAの方々3人と食事に行くことに。ルワンダで長期的に活動している人たちの話を聞ける貴重な機会だったので、楽しみにしていた。彼らは 2年間の任期でルワンダに滞在し、さまざまな支援活動をしているらしい。そしてなんと、たまたま三人とも教育現場で働いていた。
私が6週間のボランティアを通じて感じていた 「私にできることって本当にあるのかな?」 という疑問をそのままぶつけてみた。すると、こんな言葉が返ってきた。
「6週間で大きな変化を起こすことは難しいけど、いろんな種をまくことはできる。」
「あなたが帰国しても、誰かの心に何かが残れば、それだけで十分意味があるよ。」
その言葉を聞いたとき、すぐに思い出したのが、先生が筆記体ではなくブロック体で黒板に書くように努力してくれたこと。
ルワンダでは、黒板に筆記体で書く先生が一定数いる。でも、生徒たちが読みにくそうにしていたので、あるとき私は「日本では、黒板にはブロック体で書くのが一般的なんだよ」 と何気なく伝えた。
すると、次の日先生が 「あなたに言われて、ブロック体で書くように努力してるの!」 と嬉しそうに話してくれた。黒板を見てみると、確かにブロック体で書かれていた。本当に嬉しかった。たった一人の先生にでも、影響を与えることができた。それなら、6週間でできることはもっとあるはず。
もう一つ、確実に手応えを感じているのが Quick Math の取り組み。「計算を速く、正確にできるようになってほしい!」という思いで始めたこのミニゲーム、先生も 「これはいいね!他のクラスでもやろう」と言ってくれた。
「6週間では何も現地に残せないのでは」そう思っていたけど、少しずつでも影響を与えられている実感がある。
小さなことの積み重ねが、いつか大きな変化につながるかもしれない。その可能性を信じて、これからも 「試したいことは全部試す!」 という気持ちでやっていこうと思った。
ルワンダでの生活、気づけばもうそろそろ折り返し地点。後半戦も全力で!

次回更新は3/18(火)!お楽しみに。
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