海外大学進学情報

海外進学したい! 志望大・学部選び10の観点


「海外留学」とひと口に言っても、人によってその形は様々です。どの国に留学するか、どこの地域の、どの学校で、何を学ぶか…選択肢はそれこそ無数にあると言ってよいでしょう。自分に合った留学先を見つけるためには、とにかく事前の情報収集が命。しかし、ただ闇雲に大学のホームページを見ているだけでは、いろいろな情報があり、どこも良く見えてきて、余計に迷う…なんてこともよくあることです。そこで今回は、どんな観点で、なにを基準に比較して、選択すればよいのか、海外大学を選ぶ際にチェックしておきたい10の観点をご紹介します。自分のこだわりどころを発見できれば、進学への情熱が高まるはずです。

海外進学を考える際の志望大・学部選び10の観点

海外の志望大学・学部選択の際にチェックしたい観点10

気になる大学をいくつかピックアップし、以下の観点でそれぞれを比較してみましょう。

観点1:どの国で学ぶか?

英語で学びたい場合、留学先の候補となる国はアメリカやイギリスが多いのはもちろんですが、それ以外にも英語圏の国・地域は世界にたくさんあります。近年はアジアにおける英語圏への留学も注目されてきています。国によって大学で学ぶためにかかる費用も大きく異なりますし、治安の面なども差が出てきます。忘れがちですが、気候や文化、風習などが自分に合うかどうかも非常に大切です。また、それぞれの国の高等教育に対する考え方自体もかなり違うため、大学の位置づけなどが変わってくることも頭に入れておくとよいでしょう。候補となる国をいくつかピックアップし、それぞれの国のメリット・デメリットを調べて比較してみるのがおすすめです。

「THE世界大学ランキング」で有名なイギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」の下記のサイトでは、各国にある大学のランクや特徴などを網羅的に確認することができます。

【参考】:Where to study: which university is right for you?|THE

観点2:立地(ロケーション)は?

同じ国の中でも、大学がある場所によって環境は大きく異なります。正規の学生として海外大学に入学するのであれば、国や大学によって違いますが、最低でも3~4年間はキャンパスのある場所で生活することになるので、大学の立地は非常に重要なポイントとなります。都会で刺激的な毎日を送りたいのか、郊外で緑豊かなキャンパスで集中して学びたいのか、価値観は人それぞれです。留学する国を選ぶときと同様に、治安や気候、文化等も含めて、自分が送りたいキャンパスライフをしっかりイメージすることから始めましょう。

≪チェックするポイントの例≫

  • ・都会 or 郊外
  • ・治安の良さ
  • ・生活環境、生活のしやすさ(移動が楽にできる、スーパーや銀行などが近くにある、など)
  • ・日本人の多さ
  • ・学生にやさしい街かどうか
  • ・周りにインターンシップができる企業があるか
  • ・空港からのアクセス など

観点3:学校の規模は?

それぞれの国で大学にもいろいろな種類があります。たとえばアメリカであれば、総合大学(University)とリベラルアーツ・カレッジでは、学校の規模という点でいえばかなりの違いがあり、それに伴って大学の雰囲気や校風、特徴も大きく異なるのが一般的です。

どの国でも、多くの場合、大規模な学校にはより多くのリソースがあります。学生寮、図書館、コンピューター環境、ヘルスセンター、運動施設、文化・娯楽施設などの充実したキャンパス施設や学生へのサポートサービスを備え、様々な学生活動が可能となっていることが多々あります。また、大規模な研究大学は、科学、工学、その他の研究分野の教員、教室、研究開発ラボに投資する予算が大きい傾向があります。そして最も重要な点は、大規模校は通常、数百レベルの異なる専攻・コースが用意されていることで、幅広く学際的に学びたい人にとっては非常に魅力的です。
小規模な大学には、規模の大きい学校ではできないことがたくさん提供されており、また違った魅力を備えています。リベラルアーツ教育や特定の専門分野に特化できるように、あえて小規模なまま存続している大学も数多くあります。キャンパスやクラスの規模が小さいため、アットホームな雰囲気になりやすいのも特徴。教員と学生や、学生同士の関係はより密接になり、きめ細やかな教育やサービスが受けられる傾向があります。緊密な学生コミュニティが多いのもポイントです。
大規模大学は郊外に多く、小規模な学校は都心に多いという傾向もあり、周囲の環境もあわせて考えることが大切です。

観点4・やりたい学びはあるか?

どの国の、どんな大学にもそれぞれに特徴があり、強みとする分野や力を入れている研究がはっきりしていることも多いです。大学の知名度や、入学の難易度(求められる成績や語学力)などだけで留学先を選んでしまうと、入ってから学びたいことが見つからない可能性もあります。入学時は専攻したい分野がとくに明確でなくても、一般教養科目を幅広く履修しながら学びたいことを決めていけるカリキュラムが多いのが海外大学の特徴でもありますが、教養範囲でも興味が持てる授業があるかどうかは大学が公開している科目リストなどを見ておくとよいでしょう。もし学びたい分野がしっかりと決まっている場合は、各大学が提供している学科・専攻分野のプログラム、科目、授業内容などを徹底的にチェックし、自分に合った志望大学を慎重に絞り込んでいくこともできます。

観点5:学び方は自分に合っているか?

学ぶ内容だけでなく、学ぶ方法も重要です。たとえばアメリカなどでは入学時に学部を決める必要がなく、総合的に幅広い教養を身につけることが重視されますが、イギリスなどでは学部や専攻分野をしっかりと決めて入学することが必要になり、授業の内容も最初から専門的なものとなります。また、大学・学部によって、授業形態として重視されているのは講義かセミナーか、評価の仕方はどうなっているか、選択科目にはどのようなものが提供されているかなども大きく異なります。ダブルディグリーやコンソーシアムなどの制度がどのように整備され、提供されているかも要チェックです。自分の興味の範囲や、将来の見通しなども考慮しつつ、自分に合った学び方ができる大学を探しましょう。

観点6:やりたい学びの施設は充実しているか?

大学の規模にも左右される部分はありますが、キャンパス内の施設・設備は大学によって大きな差が出てくる部分です。各分野の研究にかけられている経費、PC環境などを含む設備、図書館の蔵書量などは事前にしっかり確認しましょう。とくに理系分野であれば、十分な施設・設備が整っているかは研究の内容にも関わってくることも多いので、気にかけておきたいところです。ある程度、志望大学が絞り込めてきたら、オープンキャンパスやキャンパスツアーなどに参加して、自分の目で最終確認をしてみるのもよいかもしれません。また、自分が学びたい専攻分野に関連する教授陣の充実度も要チェックポイントの1つ。学生に対する教員の割合も、客観的な指標としては参考になります。

観点7:留学生向けのサポート体制は充実しているか?

留学生の受け入れが多い大学と少ない大学では、留学生に対する大学からのサポート面でも違いが大きくなる傾向があります。各種の手続きがスムーズに行える窓口が整備されている、地域社会との交流の場を定期的に設定してくれる、などの積極的なサポートがあるかないかは、大学全体の雰囲気にも大きく影響します。また、留学生自体は多いものの、受け入れ先の国・地域が偏っているとか、日本人留学生が非常に多い、といった特殊な環境にある場合もあります。大学のホームページ等で可能な限り在学生の内訳を調べたり、大学のアドミッションオフィスに問い合わせるなどして、留学生の受入れ状況をなるべく把握しておくことをおすすめします。

観点8:将来につながるか?

海外大学に進学するなら、大学卒業後の将来像についてもある程度はイメージを持っておくと良いでしょう。どんな職業に就くかまでは決まっていなくても、日本に戻って仕事をするか、海外での就労を目指すか、それとも研究を続けるのか、というぐらいの漠然とした希望は設定しておくと、大学選びの際にも活きてきます。海外で働きたいのであればとくに、各大学のインターンシップの充実度や、地域企業との連携などがどうなっているかを、大学のサイトなどでしっかりチェック。また、サイト上で卒業後の学生の就職先のリストや卒業生の体験談を公開している場合もあり、そういった大学では雇用・キャリアの機会につながる卒業生ネットワークを有している傾向があります。キャリアカウンセリングなど、キャリアサービスが充実している大学も増えてきており、各大学でどういった就職サポートが受けられるのかをあらかじめ確認して、大学選びの参考にするのも1つの手です。

観点9:学費は無理がないか?

留学する国や留学期間、大学・学部によって、かかる学費(授業料など)は大きく異なります。やはり金銭的な側面は志望大学選びでは非常に重要であり、この記事で例として挙げている10の観点の中で、最終的に費用面が決め手になってしまうこともありますので、初めのうちからチェックしておきましょう。一般的に公立より私立のほうが学費は高くなりますし、学部によっては教育オプションに別途費用が発生する場合などもありますので、大学・学部ごとにホームページや資料など最新の情報で調べて一覧表を作るなど、しっかり比較しましょう。
また、大学によっては助成金や奨学金などが用意されていることもあります。制度や金額はそれぞれ違い、条件によってはかなりの援助を受けられることもありますので、その点もきちんと確認しましょう。

アメリカの大学であれば、大学の費用を計算して比較できる下記のようなサイトもあるので利用してみるのも良いでしょう。

【参考】:College Cost Data|College Calc

観点10:生活スタイル・生活費は?

大学の学費だけでなく、留学するとなると当然のことながら通常は海外での1人暮らしとなるため、生活費も必要です。学生寮が用意されているのか、自分でアパートなどを探して住むのか、それともホームステイをするのかといった生活スタイルによって、費用には大きな差が出てきます。ただし、仮に学生寮が非常に安価であるなどの状況があっても、セキュリティ体制が万全であるかなど、他にも気を付けたいポイントがあるので注意しましょう。また生活スタイルに加え、留学先の国や都市の物価も生活費を大きく左右します。さらに、海外で暮らすためには日本円を現地の通貨に両替することが必要になりますので、為替変動にも気を付けなければいけないことがあります。1年間にかかるおよその費用をあらかじめ概算し、学費とあわせた金額に無理がないか、家庭の状況に照らし合わせてしっかりと検討しておくことが大切です。

いかがだったでしょうか? 国内での志望大学選びと同様に、留学先の海外大学を選択する際も、自分や家庭の価値観・考え方が最も重要になります。上記で取り上げた10の観点も参考に、なるべく広い視野を持って大学選びをしてください。自分にとっての「決め手」となるポイントを見つけ、最高の志望大学に出合いましょう!

※この記事でご紹介している内容は2019年12月20日現在の情報に基づいています。

※この記事は、旧GLCウェブサイトの「グローバル海外進学コラム」2019年12月20日に掲載されたものです。

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