留学生への手厚さが魅力!オーストラリア留学10のメリット
「海外留学」を初めて考えてみるとき、多くの人が最初に迷うのが「どの国に留学するか?」ということではないでしょうか?「英語を学びたいから、英語圏に行きたい」というぐらいの漠然とした希望はあったとしても、世界には英語を公用語とするたくさんの国が…。「●●の国で(もしくは〇〇大学で)、▲▲が学びたい!」とはっきり決まっている人以外は、迷ってしまうのも当然といえるでしょう。
そこで今回からは、隔月に1回「留学するメリット」をご紹介するシリーズをお届けします。それぞれの国に留学するメリットがわかれば、行ってからの自分をイメージしやすくなるはず。初回は、「オーストラリア」に留学することのメリットを10にまとめてご紹介します。
オーストラリア留学の10のメリット
① 教育水準が高く、大学のレベルがワールドクラス
オーストラリアの教育は、世界でも非常に高い評価を受けています。オーストラリア国内には合計43の大学がありますが、そのうち39校が国公立大学<国立1校・公立38校>であり、教育の質や教育設備が行政によって厳しく管理されています。イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education」が毎年発表している「THE世界大学ランキング<2020年版>」で、TOP100までにメルボルン大学(University of Melbourne/32位)やオーストラリア国立大学(Australian National University/50位)、シドニー大学(University of Sydney/60位)など6校がランクイン、200位までだと11校(日本では東京大〈36位〉、京都大〈65位〉の2校のみ)が入っていることからも教育水準の高さがうかがえます。世界的に見てもレベルが高く、学習環境の充実した大学で学ぶことができるのは、オーストラリア留学の大きな魅力です。
また、大学のほかにもTAFE(Technical and Further Education)と呼ばれる州立の職業訓練専門学校が国内に100校以上あり、マーケティングやアート、ファッション、ビジネスなど多くのコースと多様なカリキュラムが用意されています。プロフェッショナルな技術から最新のキャリア領域まで、特定の分野においてより実践的なアプローチでスキル重視の学びが可能です。TAFEのディプロマ(Diploma)以上のコースで1~2年程度学び、一定の成績を収めて学位(ディプロマやアドバンスディプロマ)を取得すると、オーストラリアの大学の2年次に編入(場合により1年次から入学)できる制度もあり、留学生に人気となっています。
② 多民族国家で、留学生の受け入れ態勢はバッチリ
オーストラリアは、歴史的に多くの移民が暮らす多国籍・多文化国家です。古くから留学生の受け入れにも積極的で、国全体の人口がわずか約2300万人でありながら、アメリカ、イギリスに続き世界で3番目に留学生の受入れ数が多くなっています(*1)。
留学生に対するサポートも手厚く、世界でも珍しい留学生の受け入れと保護を保証する国家法が制定されているのが大きな特徴です。学生ビザで渡航する留学生を対象に、学生の権利と質の高い教育を保証するESOS法では、何らかの事情で就学予定のコースが開講されなかったり、継続が不可能になった場合は、授業料の返金保証や、他の学校への転校させることが義務として定められています。留学生を受け入れる教育機関に対し、連邦政府への登録を義務付けているCRICOS制度もあります。
また、オーストラリア政府からは、毎年2億豪ドル以上は留学生向けの奨学金として提供されているなど、世界の中でも1、2を争うほど、留学生を守る制度が非常に充実している国と言えるでしょう。
*1)出典:UNESCO Institute for statistics
③ 統一基準のある教育システムで、編入や転校がしやすい
他の国とは異なるオーストラリアの教育制度の大きな特徴の1つとして、AQF(Australian Qualifications Framework:オーストラリア教育資格システム)という教育に関する統一システムがあります。これは、中学・高校、職業訓練専門学校、大学、大学院で取得できる資格・学位を連携させて、国家として査定・認定する制度です。この制度により、他の学校でとった資格・学位が、必要な条件を満たせば別の学校でもしっかり認定されるので、編入・転校がスムーズにできるようになっています。もちろん留学生にも適用されるため、学生ビザの必要条件を満たしている限り、学年の移行や、転校、コースの変更などを容易に行うことができます。自分の状況や希望に合わせて多様な進学ルートの中から選択することができますし、興味・関心が移り変わった場合でもルート変更が簡単。自分に合った柔軟な学びが可能です。
④ 学生ビザでもインターン・アルバイトができる
卒業後に社会で即戦力となる人材育成を重視しているオーストラリアの教育機関では、実務訓練の一貫として地元企業での研修・実習(インターンシップ)が盛んに行われています。インターンシップには、業界の種類や就労期間に応じて有給の場合と無給の場合がありますが、就労経験を得ながら学校で専攻しているコースの単位を取得できる場合があるなど、多くのメリットがあります。
また、学生ビザ〈サブクラス500〉取得者は、2週間で40時間までの就労(アルバイト)が許可されています(*2)。
このように学生ビザで学びながら実務経験を積むことができるのが、オーストラリア留学の魅力の1つ。インターンシップ・アルバイトにより、現地での就労経験を得ることができるので、仕事に関する実務や、専門分野での業務に関するネットワークの構築などのスキルを、将来の職業に生かすことができます。もちろん、留学費用をまかなうための金銭的な面でもプラスになります。
*2)新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、学生ビザ保持者の就労に関して一時的な労働時間の緩和などの措置が取られています(2020年6月22日現在)。詳細は、オーストラリア連邦政府の公式サイト等でご確認ください。
【参考ページ】:COVID-19 and the border・Student visa|Department of HOME AFFAIRS|Australian Government
⑤ 様々な学問分野で、専門性の高い授業が受けられる
観光が主要産業の国家であるオーストラリアは、観光・ホスピタリティ分野の学問に強いことでよく知られています。そのほかにも自然豊かな環境や地域的な特徴を生かした海洋学、環境学、アジア学、さらには国際学、開発学など、特色豊かな魅力ある専攻科目が多く、それぞれの分野での研究・教育の質には定評があります。
看護学や理学療法学、チャイルドケアなどの資格を取得できるプログラムでも留学生を多く受け入れていますし、各種スポーツ関連の学問も盛んで、スポーツ留学先としても人気があります。それぞれの大学には得意分野があるので、語学学校やファウンデーションコースで学びながら、自分に合った学校を探すのもよいでしょう。
また、特筆すべきはTAFEの存在。TAFEは日本で例えると専門学校と大学を混ぜ合わせたような教育機関で、非常に幅広い専門分野で、実践的な学びが提供されているのが特徴です。ディプロマなどの学位取得だけでなく、様々な専門資格にも対応しているため、特定の分野でスキル重視の学びをしたい人に向いています。ホテル業界や航空業界などで働く専門性の高い職業(ホテルマン・パティシエ・キャビンアテンダントなど)に直結した技術訓練を受けられるコースもあります。
⑥ 学士取得までの期間が短く、留学コストが比較的安くできる
オーストラリアの大学(学士過程)は、基本的に3年制。日本の多くの大学で提供されている一般教養課程のような授業がなく、1年目から高度な専門課程に入ることがほとんどです。教育制度が日本とは異なるため、日本の高校卒業後に留学する場合、一部の例外を除いて大学に直接入学することはできません。オーストラリアの大学付属のファウンデーションコース(進学準備コース)で1年間程度学んでから大学の1年次に入学するか、TAFEで1~2年間程度学んでディプロマ以上の学位を取得してから大学の2年次に編入するのが、一般的な進学ルート。英語に不安がある場合は、さらにその前に語学学校で英語のスキルを磨いてから、ということになります。
大学に直接入学できない、というと留学期間が長くなるように感じますが、そもそも大学が3年制であることや、多様な進学方法があることなどから、うまくルートを選べば短期間で学士号まで取得することができます。
たとえばTAFE経由で大学に編入するルートであれば、1年間でディプロマ以上を取得できるコースでしっかりと勉強し、そのまま大学2年次に編入することができれば、合計3年間で大学まで卒業することが可能。大学のファウンデーションコース経由を選んだ場合も、日本の大学と同じ4年程度での卒業が可能となります。語学学校に行く期間を含めても、全体の留学期間は短めに設定することができ、費用も比較的抑えることができます。
⑦ 卒業後に2年間就労できる
オーストラリアでは、2年間以上の大学・大学院留学で学位を取得し、所定の条件を満たした場合は、そのまま国内に在留し、就労できるビザ(Temporary Graduate visa〈サブクラス485〉)を申請することができます。通称「卒業ビザ」とも呼ばれているこのビザを取得すると、大学もしくは大学院の卒業後に最長4年間(*3)、オーストラリア国内でフルタイムでの就労が可能(就学も可能)となっています。
Temporary Graduate Visaには下記の2タイプがあり、滞在可能期間はビザの種類と取得学位により異なります。
Graduate Work stream
ITや会計学など、専門性と需要の高い専門分野が対象。Skilled Occupation List(SOL) に記載されている職業に関連する2年以上の学位コースを修了していることが必要です。
<滞在期間>:18か月間
Post-Study Work stream
専攻分野に関わらず、2年以上の大学・大学院課程修了者に与えられます。滞在期間は取得学位によって異なります。
<滞在期間>
◆Bachelor Degree / Bachelor Degree with Honours / Masters by Coursework Degree / Masters (extended) Degree:2年間
◆Masters by Research Degree:3年間
◆Doctoral Degree:4年間
Temporary Graduate Visaを取得することにより、大学や専門学校を卒業後にオーストラリアで職業経験が積むことができ、さらなる長期滞在が可能なビザのスポンサーとなってくれる企業を探すことも可能です。
*3)2021年以降に卒業する場合、必要条件を満たすことにより、さらに1年間の期間延長が認められることになっています。(2019年3月発表)
⑧ 自然が豊か!過ごしやすい気候
オーストラリアは世界で最も小さい大陸であると同時に、世界で6番目に大きい陸地部分を持つ最大の島国。日本の約22倍という広大な国土には、500以上の国立公園、野生動物の自然保護区とアボリジニの保護区を含む多様な2700以上の保護地域、17に及ぶUNESCO世界遺産が点在しています。カンガルーやコアラといった特有の生物も多く、雄大な大自然に恵まれたオーストラリアは、どの都市の気候も全般的に穏やかで、過ごしやすい環境として知られています。サーフィンやダイビングなどのウォーター・スポーツをはじめ、豊かでダイナミックな自然を生かした多様なアクティビティも充実。日々、リフレッシュしながらメリハリのある学校生活を楽しむことができますし、自分次第で学習以外の活動の幅を広げることもできます。
⑨ 治安がよくて安心、暮らしやすい
留学先選びで、多くの人が重視するのが「安全性」。オーストラリアは、世界的に見ても非常に治安の良い国としてよく知られています。欧米の国々と比較しても銃規制が厳しく、都市によってはアルコールも法律で厳しく規制されています。多様な文化のるつぼで、フレンドリーな国民性を持つと言われ、国連のSustainable Development Solutions Networ(持続可能な開発ソリューションネットワーク:SDSN)が所得、自由、信頼、健康寿命、社会的支援、寛容性の6項目を幸福の主な指標として発表している「世界幸福度ランキング2020年版」では12位にランクインしています。同レポートでは都市の幸福度ランキングも発表されていますが、10位にブリスベン、14位にメルボルン、15位にパース、20位にシドニーと上位にオーストラリアの都市が多数ランクされています。
また、イギリスの経済誌「The Economist」の調査部門『The Economist Intelligence Unit(EIU)』が発表している「世界で最も住みやすい都市ランキング」の2019年版では、2位にメルボルン、3位にシドニー、10位にアデレードがランクイン。さらに、世界大学評価機関であるイギリスのQuacquarelli Symonds(クアクアレリ・シモンズ:QS)が発表している「QS学生都市ランキング(QS Best Student Cities Ranking)」2019年版では、3位にメルボルン、9位にシドニー、22位ブリスベン、23位キャンベラが選出されていることなどからも、いかにオーストラリアが生活しやすい国であるかがわかるでしょう。
⑩ 日本からの交通の便がよく、時差もほとんどない
日本からは直行便で8~11時間のフライト(*4)。羽田ーシドニーの場合は9時間半ほど、成田ーケアンズであれば7時間半が目安です。たとえば、アメリカ・ニューヨークであれば13時間程度、イギリス・ロンドンなら12時間半程度かかることを考えれば、留学先として日本で人気の英語圏の国の中では、比較的近いということが言えるでしょう。家庭の事情などで急に日本に一時帰国しなければならない場合も、意外と楽に往復することができます。
また、日本とオーストラリアの時差はなんと、わずか1時間程度(サマータイム中は+1~2時間)。留学中に家族や友達と電話やビデオ通話などで話したくなったときも、簡単に時間を合わせられます。新型コロナウイルス感染症の拡大など、不測の事態で学校が閉鎖され、自国に戻ってオンライン授業を受けなければいけないというような状況になったとしても、時差がほとんどないため、夜遅くや、早朝に起きて時間を合わせるといった苦労が不要なのは、実は大きなメリットとなります。
*4)新型コロナウイルス感染症の影響で、航空各社の日本ーオーストラリア間の直行便はほとんど運休している状況が続いています。ただ、オーストラリアでは比較的、新型コロナウイルス感染症拡大の状況が落ち着いており、今後は徐々に運行に関する規制が緩和されていく可能性があります。(2020年6月22日現在)
オーストラリア留学に、デメリットはある?
では逆に、オーストラリアに留学する場合、どんなデメリットがあるのでしょうか?いくつか挙げてみましょう。
●オーストラリア英語のアクセントが独特
オーストラリアはイギリス流の英語がベースとなっており、文法や文字のスペルなどはイギリスとほぼ同様(一部、独特のスペルあり)。発音はイギリスの英語に、オーストラリア独特の表現が数多く加わっており、オージーイングリッシュと呼ばれることがあります。「rを発音しない」「aをアイと発音する」「短縮形が多い」などの特徴があり、アメリカやイギリスの英語に比べると、少々なまっているように聞こえると言われています。即座に理解するのには多少、慣れが必要ですし、一般的にきれいな発音を身につけたい場合は自分で注意して学習していく必要があります。
●日本人が意外と多い
世界から多くの留学生が集まるオーストラリアですが、もちろん日本でも英語圏の留学先として大人気。必然的に学校や寮、ホームステイ先やアルバイトの職場などに、多くの日本人留学生がいることが往々にしてあります。初めての留学で心細いときに励ましあったり、英語に不安があるとき教えあったりできるというような利点もありますが、「日本語が通じない環境で、英語漬けの毎日を送り、英語力をUPさせたい」というようなときは、ちょっと考えもの。周りに日本人がいると、つい日本語を使ってしまいがちです。英語でしゃべる機会が減ってしまっては、せっかく留学したのに、英語力があまり身につかない結果になりかねません。もし周囲に日本人がたくさんいる環境の場合は、意識して日本人以外の人と話し、英語を使っていくとよいでしょう。
また、大都市と比べると郊外の街には日本人は少ない傾向があります。集中的に英語を学べる環境を望むのであれば、あえて郊外の都市を留学先に選択するのも1つの方法です。
【オーストラリア留学】 先輩体験談
父を超えるシェフになるため、海外で世界の料理を学びたい
ハードなTAFEの授業とレストランでのアルバイトを両立
K.I. さん
渡航先:ニューサウスウェールズ州
学校:TAFE NSW-NSI
私の夢は、「父を超えるシェフになり、自分の料理で人を幸せにすること」。そのために海外で世界の料理を学びたいと思っていたのですが、TAFEにCookeryという専攻があり、世界の料理の専門的な技術を身につけながら英語でのコミュニケーション能力を磨けることを知って、このルートでの留学を決めました。高3の5月頃から、海外進学に向けて具体的に準備を開始。夏休みに猛勉強したおかげで、卒業後の4月に渡豪し、3ヶ月の英語学校を経て、7月からTAFEにCookery専攻として入学をすることができました。
授業は週に2回、13時から14時がセオリー(理論)、14時から15時がブレイク(休憩)、15時から21時までがプラクティカル(実技)。プラクティカルでは実際のレストランの厨房に近い設備の教室で、シェフである先生の指示を聞いて料理を作るのですが、フランス語を語源とするような料理用語も含まれた早口の英語の説明を聞きとるのが大変です。
なるべく多くの経験を積みたいと思い、授業のない日にはイタリアンレストランの厨房でアルバイトも始めました。洗い物や、サラダを作る役割を担っていますが、現地でも人気のレストランで、混んでいる時の厨房は戦場のような忙しさです。周囲と比べてまだ出来ないことばかりですが、やる気と情熱だけは誰にも負けないようにしています。
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※この記事でご紹介している内容は2020年6月25日現在の情報に基づいています。