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こんなに違う!イギリスとアメリカの大学教育制度を徹底比較

高校生・大学生の海外留学先として、日本で最も多く選ばれている国はアメリカ。それと並んで、長きに渡って日本で高い人気を誇っているのがイギリス留学です。どちらも質の高い高等教育機関や優れた研究施設が数多くあり、英語圏での留学先として非常に有名なアメリカ・イギリスの2国ですが、この2つの国の教育制度は同じ英語圏でも似ているようでかなり違います。今回は、アメリカとイギリスの大学教育制度を比較してみます。特徴的な2国を比べてみることで、自分に合った留学先を見定めるためのポイントを知ることができるのではないでしょうか。

イギリスとアメリカの大学教育制度を徹底比較

学位取得までの時間

アメリカとイギリスの大学(学部)において、最も大きく異なるのは学位(学士:Bachelor)を取得するまでにかかる期間だとされています。両国とも、大学や学部によって違う場合もありますが、一般的に学位取得までに必要とされている時間は以下の通りです。

■アメリカの大学・学部課程(undergraduate program)

12年間の初等、中等教育(中学・ 高等学校)を修了した後に、大学学部課程があります。 学部課程(大学)には大きく分けて2種類ありますが、学士号を取得できる課程(Bachelors degrees at universities)は一般的に18歳以上で入学し、4年間のプログラムとなります。

4年制大学(four-year college):通常4年間の学部課程
リベラルアーツカレッジ(Liberal Arts Colleges)、総合大学(Universities and Colleges)、専門/単科大学(Specialized Colleges)があります。修了すると主に学士号(Bachelor’s Degree, B.A. / B.S.)が与えられます。

2年制大学(two-year college):通常2年間の学部課程
公立2年制大学(Community Colleges)、私立2年制大学(Junior Colleges)があります。修了すると主に凖学士号/短期大学士号(Associate of Arts / Science Degree, A.A / A.S.)や専門学位などが与えられます。

■イギリスの大学・学部課程

義務教育(Secondary School:11~16歳)の修了後、大学進学を希望する場合は16~18歳までSixth Form Collegeで大学入学試験の準備を行い、18歳以上で大学の学部課程(Bachelors Degrees)に入学します。学士号はリベラルアーツ(BA)、または社会科学(BSc)の分野で取得でき、一般的に3年間で専門分野を学習します。(スコットランドの場合は、通常4年間となります)

大学の入試制度

入学資格

■アメリカ

日本の高校を卒業、 ないしはそれと同等の資格があれば、アメリカの大学への出願は可能です。ただし、海外の学生の場合、それぞれの大学で入学基準として決められている一定以上の英語力を証明するテストスコアなどが必要となることがあります。

■イギリス

イギリスで大学進学を希望する場合は、「GCE-Aレベル(General Certificate of Education, Advanced Level)」と呼ばれる統一試験を 3~4 科目受ける必要があり、そのための試験準備は Sixth Form College(16~18歳)という特別な学校で行われます。GCE-Aレベルを受験していない日本の学生は、高校卒業後に直接イギリスの大学に進学することはできず、1年間の大学進学準備コース(ファウンデーションコース)で学んだ後に、大学に入学するルートが一般的です。大学入学にあたっては、海外からの留学生の場合、高校卒業後の十分な英語力(IELTS 6.0以上)、ファウンデーションコースの成績、またはGCE-Aレベルの点数が必要となります。

出願プロセスの違い

■アメリカ

基本的に、個々の大学に申請書を直接提出しますが、多くの大学で共通の学部入学願書である「Common Application」システムを使用しているため、複数の大学への出願は比較的容易に行えます。ただし、大学ごとに独自の課題(エッセイなど)を課している場合がほとんどです。

■イギリス

学部入学の場合、出願から合否決定までの一連の手続きは、すべてUCASフォーム(Universities &Colleges Admission Services)と呼ばれる中央機関を介して行われます。設定された締め切りまでに、UCASの一元化された出願申請書で多くの大学に一括で出願できます。

選考基準

■アメリカ

大学入学に関する統一的資格基準はありません。入学試験などはなく、主に書類選考で合否判定が行われ、各大学が定めた基準(高校の成績、SATやACTの結果等)に達していれば入学が許可されます。

大学によって異なりますが、以下のような出願資料が選抜に重視されるといわれています。
1.高校成績:履修科目の内容と成績
2.共通入学テストの成績:SAT® or ACT
3.推薦書、エッセイ、インタビュー等
4.AP(Advanced Placement Program)の成績

■イギリス

大学入学に関する統一的な資格はありませんが、イギリスの学生が大学に入学するためにはGCE-Aレベルで3~4科目を受験した成績が必要です。義務教育終了後に16歳で受験するGCSE(General Certificate of Secondary Education)およびGCE-Aレベルの成績、中等学校の内申書や面接の結果等で進学できるコースが決定します。

学期と長期休暇

■アメリカ

一般的に9月から翌年の5月までの9カ月間を1学年(academic year)としています。1学年間(9カ月間)を2期に分けるのがセメスター(semester)制、1年間(12カ月間)を4期に分けるのがクオーター(quarter)制となっており、いずれかの制度をとっている大学が多いようですが、大学独自の学期制度を設けている場合もあります。6~8月は、2カ月程度の夏休みか夏学期(summer session / school)となります。また、12月中旬から1月上旬から中旬まで、かなり長い休暇があります。

※1セメスターは17~18週間(秋:8月下旬~12月中旬、春:1月上・中旬~5月上・中旬)
※1クオーターは11~13 週間(秋:9月下旬~12月中旬、冬:1月上旬~3月中旬、春:3月下旬・4月上旬~6月中旬)

■イギリス

大学によってかなり異なりますが、多くの学校は1学年が9月頃に始まり、6月頃に終了します。3学期制を採用している学校が多く、学期は「term」と呼ばれるのが一般的です。秋学期(Fall / Autumn term)は9 – 12月、春学期(Spring term)は1 – 3月、夏学期(Summer term)は4 – 6月が目安となります。学期(term)の間には長めの休暇があり、7月から2~3カ月程度の夏休みに入ります。

カリキュラム

■アメリカ

一般的に1~2年次に教養科目(general education / liberal arts courses)を中心に学び、2年次後半から3年次前半までに専攻(major)を決め、3~4年次にその専門科目(単位)を履修するカリキュラムとなっています。一部の専門分野(看護学等の保健分野、美術や音楽等の芸術分野、工学 など)を除いては、入学時に専攻科目を決めなくてもよいプログラムが数多くあります。興味がある分野を幅広く学べるのがアメリカの大学の特徴といえます。

※薬学(pharmacy)、工学(engineering)、建築学(architecture)等の専門分野では学士課程の修了に5年かかる場合もあります。

■イギリス

多くの大学で、一般教養課程がなく、1年目から専門課程がスタートする3年制のカリキュラムとなっています。これは、イギリスの高校から大学に進学した学生がGCE-Aレベルで基準以上の成績を収めていることで、大学で学ぶ専攻に応じた基礎知識や、学習に必要なアカデミックスキルが身についているとみなされるためです。学問的な専門性を深く追求していくのが、イギリスの大学の特徴といえます。

※医学や獣医学、建築学など専門の資格に直接結びつくコースでは修了するまでに5~7年が必要となる場合があります。

宿題と成績

■アメリカ

アメリカの大学では学習の幅を重視しているため、毎週または隔週のリーディングの課題に加え、コース全体を通して小さな執筆課題、研究論文、口頭発表など、一定量の多様な課題が宿題として課されるのが一般的です。成績は、様々な課題の結果に基づいて決定され、最終試験は成績全体に占める割合は、ほんの一部と言われています。

■イギリス

イギリスではほとんどの大学が講義ベースであり、学期中には宿題はたまにしか課されないことが多いようです。場合によっては、必修の課題がまったくなく、1回の最終試験ですべての成績がつけられることもあると言われています。

留学先の国によって、教育制度や学べる内容は異なる
自分に合った海外留学をみつけよう

同じ英語圏の人気留学先とはいっても、アメリカとイギリスの大学では、制度も考え方もかなり異なるのがおわかりいただけたでしょう。どちらが良いということはなく、自分に合った場所で、自分がやりたいことをできる選択をするのが最も大切です。そのためにはまず、しっかり時間をかけて、興味がある大学や国について調べること。今回のコラムで比較してみたポイント以外にも、気になることがあれば調べてみてください。海外経験のある先生や大人たちに話を聞いたり、様々なメディアの情報に触れてみるなど、方法はいろいろあります。あわせて、どの国に留学するにしても必要になる英語力は、早いうちから磨いていくことを忘れずに!

※この記事でご紹介している内容は2019年11月29日現在の情報に基づいています。
※この記事は、旧GLCウェブサイトの「グローバル海外進学コラム」2019年11月29日に掲載されたものです。

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