【緊急 新型コロナウイルス情報】各大学の留学生対応は?ーアメリカ・イギリス編ー
現在、日本を含む全世界での新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に伴い、多くの国で入国制限や検疫の強化、ビザ発給の停止、海外への渡航制限など様々な対策が行われています。海外で学んでいた多くの留学生も、帰国を余儀なくされているのが実情です。留学中の方、留学を予定されていた方は不安が尽きない状況におかれているでしょうが、新型コロナウイルスによって教育が分断されているわけでは決してなく、ほとんどの大学がオンライン授業、録画授業、遠隔テストなどで対応しています。日々刻々と状況が変化する中ではありますが、各国・各大学の対応やサポート体制など、しっかりと最新の情報を収集し、自分はどうすればいいのかを見極めていきましょう。
今回はまず、アメリカとイギリスの大学の留学生対応についてまとめます。
※この記事は、各国の政府機関や各大学のWEBサイト等の情報を2020年5月7日現在でまとめたものです。各国・各大学の対応は状況に応じて流動的になっているため、情報は常に予告なく変動する可能性があります。最新情報は必ず自分で確認してください。
アメリカ・イギリスの国全体としての動き(概要)
アメリカ(4/28現在)
★3月13日に全州を対象とした「国家非常事態宣言」を発令
★ニューヨーク州、カリフォルニア州など一部の州・地域で外出禁止令・自宅待機命令を発令
※ニューヨーク州は5月15日までとされていた外出制限措置の延長を発表〈4/27〉
※アイオワ州、ミシガン州、ネブラスカ州、イリノイ州、ハワイ州などでは4月末までを目途としていた外出制限を延長
※現在は南部や西部を中心に半数ほどの州で外出制限を部分的に緩和し始めている
★3月中旬より隣接するカナダ、メキシコとの国境を閉鎖(5/20ごろまでを予定)
≪入国制限・入国停止≫(概要)
●非移民ビザ(学生ビザが該当)の面接を一時的に停止中
●アメリカ本土では過去14日以内に下記の国を訪れた外国人の入国を停止
中国(香港・マカオを除く)/イラン/イギリス/アイルランド/欧州域内の自由移動が認められる「シェンゲン協定」加盟国(ヨーロッパ26か国)
*日本国籍者への対応*
米国疾病予防管理センター(CDC)は日本の感染症危険情報度合いをレベル3(渡航中止勧告)としているため、日本からアメリカへの渡航者は入国から14日間にわたり、ホテル等の宿泊先や自宅等にて待機を命じられる。
※入国制限措置は延長や変更となる場合があります。今後発表される最新の情報をご確認ください。
イギリス(4/27現在)
★3月23日にイギリス全土でのロックダウン(都市封鎖)を発表
・旅行者を含むすべての人に不要不急の外出を控えるよう外出制限(自宅待機)を要請
・必需品以外を売っている全ての店を閉鎖
・すべての社会的イベントの中止、公共の場所での二人より多い全ての集まりを禁止
※4月27日にロックダウンの延長を発表
★UKビザ申請センターの一時的閉鎖
★プライベートの語学学校含むイギリス全土の学校を閉鎖/GCSEとAレベルをキャンセル
アメリカ・イギリスの大学の学生対応(留学生を含む)
アメリカ、イギリスにおける大学の対応の例を、何校かご紹介します。
アメリカ
■ボストン大学(Boston University)■
ボストンに本部を置き、3万4千人以上の学生を抱える、全米で4番目に大きい名門私立大学として知られるボストン大学。古くから留学生の受け入れを積極的に行っていることでも有名で、約8千人の留学生が在籍しています。
同大学はセメスター制(2学期制)を採用していますが、3月17日に、春学期の残りのクラスと試験、および夏期プログラムのすべてをリモートで行うことがいち早く発表されました。すべてのイベントやスポーツプログラムも中止(施設は閉鎖)、ラボの研究も最小限に抑えられています。
- ●春学期の残りの期間、授業は遠隔指導によって継続されるため、2020年春の授業料等の返金はなし
- ●学部生は大学の寮を3月22日までに退去(ただし、アメリカから渡航制限がある国に恒久的な住所があり、アメリカ国内に代替の住居がない場合は、大学に申し立てすればキャンパス内に留まることが許される)。寮を退去した場合、部屋代と食費は、学期の残りの期間、日割り計算で払い戻される
- ●卒業式は8月下旬または秋の初めまで延期(5月にバーチャルイベントを計画)。資格や雇用のために必要となる卒業証書は、できるだけ早く郵送する予定
【参考ページ】:Impact on Students and Campus|Boston University COVID-19 Information
≪留学生向け≫
- ◆F-1ビザ(一般的な学生ビザ)プログラムでは、授業がオンライン受講となる場合、通常はアメリカに留まることができないが、新型コロナウイルス関連の特例措置として一時的にオンライン学習に切り替えることが可能に(交換ビジタープログラムのJ-1ビザによる学生は、一時的にオンラインコースワークに移行することも可能)。同大学では留学生に対するメールでの相談窓口も設けられている
- ◆同大学に入学予定だった学生(留学生を含む)向けに、入学に関するFAQを大学の公式サイトで提供。
- <対応例(学部生)>:
- ・SAT®、ACT、TOEFL®テスト、IELTSなどのテストサイトが閉鎖されており、スコアが提出できない場合…2021年秋学期または2022年春学期に出願する際は、SAT®/ACTはオプションとなっている。留学生はTOEFL®テストやIELTSのスコア提出は必須で、代替として認められるものはない
- ・自国の大使館/領事館が閉鎖されている場合…大使館または領事館に直接連絡を取り、ボストン大学にF-1 Visa申請のステータスをメールで通知することが必要
- ・留学予定者(合格者)で2020年秋に登録できない場合…2021年春まで入学を延期することを推奨
【参考ページ】:Undergraduate and Graduate Admissions|Questions & Answers|Boston University COVID-19 Information
【参考ページ】:COVID-19 Admissions FAQs|Boston University Admissions
■ジョンズ・ホプキンス大学■
メリーランド州ボルチモアに本部を置き、医学・生理学賞を含む多数のノーベル賞受賞者を輩出するなど、公衆衛生をはじめとする医療分野で世界屈指の教育・研究機関として知られるジョンズ・ホプキンス大学。新型コロナウイルス(COVI-19)のパンデミック発生当初から世界中の感染状況などを集計・公表し続けており、世界で最も信頼性が高い情報として注目を集めています。
同大学では現在、春学期の終わりまですべての対面式の授業が中止となっており、6月30日まですべてリモート/オンラインプログラムで行われています(対面式の学術活動にはラボ、単位取得のための研究、実習等も含まれています)。また、すべての新規の国際交流と、国内での学生、教員、学者を含むすべての訪問者の受け入れを一時停止しています。
- ●キャンパス内外のすべてのイベント(キャンパスツアー、入学イベント、スポーツイベント、卒業イベント等)は、6月30日までキャンセル
- ●すべてのキャンパス内研究は、必須の活動のみに制限(不急のラボ研究活動は、追って通知があるまで中断)
- ●すべてのキャンパスの建物へのアクセスを制限
- ●基本的に、学部生には永住地にもどることを推奨。特例でキャンパス内に滞在し続けることを許可された場合、寮や食堂など限られた場所にのみアクセス可能
- ●大学の公衆衛生サポートの能力を高めるためにスペースが必要な場合、大学は寮の部屋を使用する。その際は、大学から連絡のうえで、必要とされる寮の部屋にある学生の荷物は梱包され、保管される
【参考ページ】:Information for undergrads|UNIVERSITY OPERATIONS|COVID-19 information and resources for JHU
≪留学生向け≫
- ◆リモート授業については、海外からもコースを受講できるため、自分の母国に帰国することも可。ただし、状況によっては希望する日にアメリカに戻れないこともあるので、国際サービスオフィスのアドバイザーとよく相談のうえで判断すること
- ※希望日にアメリカに戻れない場合、プログラムの休学やインターンシップのキャンセル、海外でのプログラム修了の可否などは、現時点では未定
- ◆F-1/J-1ビザに関する疑問を含め、留学生向けのFAQを大学の公式サイトで提供している
【参考ページ】:COVID-19 Immigration-Related FAQs|Office of International Services|Johns Hopkins University
イギリス
■ケンブリッジ大学(University of Cambridge)■
大学都市ケンブリッジに所在する総合大学であり、イギリス伝統のカレッジ制を特徴とする世界屈指の名門大学。
3学期制をとっている同大学では、イースター学期(夏学期)の対面式の授業はなくなり、すべての教育はオンラインで行われることになっています。また、イースター学期の試験は実施されず、学部・学科ごとに代替の評価方法が採用されることになっています。
●イースター学期の評価は、基本的に、決められた時間内で取り組むオンライン評価テストで行われる。イースター期間中の代替評価は、すべての学部で通常の評価原則がそのまま維持される。同様に、学生は「すべての評価のために独自の作品を作成して提出すること」および「課せられた制限時間を守ること」が求められる。
※イースター学期のオンライン評価テストのタイムテーブルは5月4日に公表。オンラインでのテストは5月20日から始まる予定
【参考ページ】:All students timetable|Examinations|University of Cambridge
●同大学には居住規定があり、学生が学位を取得するためには通常、ケンブリッジに住んでいる必要があるが、2020年のイースター学期は例外としてこの要件を免除
≪留学生向け≫
- ◆入学を希望する学生向け(国際バカロレア(IB)のオファーホルダーや、それ以外の海外オファー保有者向けを含む)に、大学からのアドバイスを公式サイトに掲載。各種試験等の結果・スコアが通常とは異なるものになる場合は、なるべく早く大学に連絡するよう求めている
【参考ページ】:Coronavirus (COVID-19): advice for offer holders and prospective students|University of Cambridge
■エジンバラ大学(The University of Edinburgh)■
スコットランドの首都エジンバラに位置し、世界トップクラスの研究大学として知られるエジンバラ大学は、イギリスの研究集約型大学群であるラッセルグループの中でオンラインの遠隔学習の最大のプロバイダーでもあります。
同大学では、3月23日から授業がリモート教育に移行しています。今学期の評価はリモートで提供される試験、または追加のコースワーク評価や定期的な「オープンブック(持ち帰り試験)*」などによる総合評価となります。学部によって試験の代わりに別の形式の評価を設定している場合は、試験の形式、期限、タイムスケールが通知されます。
* 「オープンブック」はリモートで提供される時間制限付きの持ち帰り試験を指し、これまでに学習したテキストや資料を使用できます。ほとんどの場合、48時間以内に完了するように設定されています。
- ●キャンパスでは、イギリスおよびスコットランド政府によって実施されたロックダウン制限に照らし、不可欠な公衆衛生サービスである薬局と大学保健センターを含むエッセンシャル(必須)サービスのみが稼働
- ●学生へのカウンセリングサービスやキャリアサービスなども、リモートサービスに移行
【参考ページ】:Current students|Coronavirus (Covid-19)|The University of Edinburgh
≪留学生向け≫
- ◆オファーホルダー向けのキャンパス内イベントはすべてキャンセル(オンラインで代替案を計画)。6月15日に予定されていた学部オープンデーもキャンセル
- ◆TOEFL iBT® Special Home Editionオンラインテストを同大学への入学要件として承認(オファーに記載されている標準のTOEFL iBTテストの入学要件とまったく同じものと扱う)
- ◆アドミッションスタッフはリモートですべてのシステムにアクセスできるため、入学に関する申請を処理し続けることが可能
- ◆留学に関するオファーの取り消しは行わない。条件付きオファーの場合は、対応を随時発表。また、提出書類等が入手できない場合などは、大学に相談可
- ◆ほとんどの学位のオファーは延期可能(6月下旬までに申請)
【参考ページ】:Prospective students|Coronavirus (Covid-19)|The University of Edinburgh
新型コロナウイルスによるパンデミックへの対応は、国や大学によって大きく異なっているのが現状です。ただ、いずれの国・大学とも、国民や学生に対して、日々揺れ動くそれぞれの環境・状況に合わせて最善のサポートを行おうと必死の努力を続けていることに違いはありません。新型コロナウイルスを取り巻く世界の状況は未だ予断を許さず、常に変化し続けています。留学を中断せざるを得ない状態に陥っている方も、留学を予定していた方も、まずは各国の大使館、および各大学が発表する最新情報を、ホームページなどで随時チェックしていくことが非常に大切になります。
とくに、これから留学を予定していた方、もしくは検討していた方は、今後どうなるのか不安も大きいでしょうが、現在はとにかく世界の感染拡大を一刻も早く終息させるべく、物理的にも精神的にも耐える時期。日本国内で引き続きコロナウイルスへの感染に気をつけながら、将来のために今できることを考え、対策を進めていきましょう。
※この記事でご紹介している内容は2020年5月7日現在の情報に基づいています。